幸運の女神

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その昔、彼女はちょっとした悪戯心が湧いて、食べ終わったビワの実の種を、庭の隅っこに埋めたことがあると言っていた。おそらく学校の理科で朝顔やひまわりを育てた体験が頭に浮かんだのだろうか。それとも美味しかったことに感激して、ありがとうの心を込めて自然へ帰してあげたのかもしれない。いずれにしても子どもの頃だったら、誰でも1度はやりかねないこと。よくありがちで珍しくはないはずだったが、なんとそこから芽が出できたのだ。そして、すくすく伸びて立派な木になって、毎年初夏にビワの実を楽しんでいるという。嗚呼、やはり事実は小説より奇なり。実際に童話のようなことが起こす。奇跡のような不思議な出来事に驚かされてしまった。

私はこの話しを聴いて、彼女は運のいい人なんだと思った。決して手をかけて育てた訳じゃない。ハッキリ言って全くの無計画。ただし、やみくもだったとは言い難い。ひらめきがそのまま流れに乗っただけ。言い換えれば、ひらめいて進む方角が正しいから上手くいったのだ。これは彼女の人間性が大きく関係している。どんな人とでも分け隔てなく付き合える人柄は、幸運の女神も仲良くできる朗らかさがある。明るい表情は人にとって大事な徳であって、幸運を引き寄せるのにもっとも大切なことだと言えよう。人生は苦しみも微笑みに変えていく。悲しくしても辛くても前向きに受け止め、乗り越えて喜びにすることが大切だ。いつも自分なりの楽しみを見出し、創作へ努力していく彼女に、これからも幸運が訪れることを祈っている。

臼杵万理実 作品展 2020年4月10日(金)~26日(日) 11:00-18:00 火水定休