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少し前、知り合いのイラストレーターがSNSへアップした、個人的な楽しみで描いたマンガを見たとたん、私の心は釘付けになってしまった。それはシュールなストーリーをベースに描かれたスポーツでのここ一番の勝負場面。「そんな動きは試合中にしないよ」と、突っ込みたくなるほど稚拙な描写で、この競技に詳しくないことが一目でわかるものであったが、一番の醍醐味というべきヒューマンパワーが描かれていた。なんともつかみどころのないグタグタな展開のなのに、スポーツである以上、フェアプレー精神を守ることが正しく、その上で勝つことが大切だとうったえていた。そう、スポ根マンガの王道を歩む内容にハートがスマッシュされたのだ。

それにしてもスポーツなんて門外漢なのに、なぜここまで上手く描けたのかが不思議だ。そこで直接本人に理由を尋ねたところ、スポーツが大好きな人と仲良くなって、事あるごとにそのことについて教えられ、ついにルールすらよくわからないけど、本質の面白さが理解できるようになったのだ。おおー、なんて素晴らしいこと。子供の絵のように伝えたいことを素直に表現し、見栄えをよくするための余計な演出はなく、自分にできるやり方で純粋に描かれているのだ。ぎこちなさは天真爛漫さであって、自由奔放で魅力的に感じてしまう。

つまり子供が絵を描くのと同じように、自分なりに思いっきりやってみれば、純粋なエネルギーが活かされて武器になる。これまで習ったもののセオリーに縛られないで、頭の中に浮かぶ小さなイメージをググっと広げて、得体の知れないものと仲よくしていこう。大人の世界からはみ出して不思議な感覚を使って遊ぼう。よくわからないものはよくわからなくても絵にすることができる。手探りで感じた感覚を繋ぎ合わせて、自分らしい個性的な創作物にすればいいのだ。だから直感でひらめいてくるものは恥ずかしがらず、迷走することを楽しみながら創作していきましょう!