マイウェイ!

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先週、常連のお客様から岸透子さんの絵の魅力について尋ねられた。「何が良いと思われますか?」。そこで「彼女の良さは誰でもが目にすることのできるもの。どこにでもある在り来たりだと言えるものの中に、まばゆく光っているものを発見すること。いわゆる地味で目立たないものに手を差し伸べてモチーフにしていく。普通の人なら気づかずに見落とすくらい凡庸極まりないもの。そんな平凡なものを見つけては愛情を注いで、自分の世界観で表現しようとしている。おそらく同じものをもっと上手く描写できる人やきれいな色彩で豊かに描ける人は巨万といる。しかし、そういったテクニカルなものでは味わうことのできない情感が伝わってくる。絵画は奇異なことをして目立てば良いのではない。その人にふさわしい自然で表現すること。岸さんにはこんな風に見えるんだなと、その個性を楽しみながら観られることが良いと思います」というように答えました。

ところで、美術界は斬新なイメージを具現化しようとする人、伝統的な形式を発展させようとする人、力づくのエネルギーで表現する人など、ありとあらゆるタイプの人たちがいる。この中で他の人より良い創作を目指そうすることは大切なこと。ダイヤモンドはダイヤモンドによって研磨されるように、人の才能は人との切磋琢磨によって輝いていく。だけど、もっとも大切なのは、自分の作風を目指して努力すること。他の人との相対的な比較ではない。理想としている自分になるために、どこまでも自分を向上させることができるかだ。岸さんの創作はとてもストイック。自分なりのこだわりに妥協することはない。いつも自分が正しいと感じたものを追求していく。美術には絶対的な正解がないことを理解し、人からどう思われているかではなく、これだと思うものを信じて表現している。これからもその考え方のまま、マイペースでいきましょう!

■岸透子 水彩画展 2020年5月21日(木)~6月14日(日) 11:00-18:00  お休み 月・火・水