丸くとも一角あれや人心

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坂本龍馬が好んで使った言葉、「丸くとも一角あれや人心 あまりまろきは転びやすきぞ」。その意味は温厚で周りの人円満にできるのは良いことだけど、それだけではなく、意見を言うべき時はズバッと言える面もなければならないということだ。なるほど、古来から日本人は輪をつくり輪の中で暮らすことを良しとする。そのため、人間関係が穏やかになるように気を配り、波風を立てないように丸くおさめて、心と心と繋げていく絆を大切にするからだ。

しかし、それだけでは言いたいことが言えずに、なあなあの関係に陥りやすい。特に我慢強い民族であるがゆえに、ついつい遠慮し過ぎて、自分の意見を引き下げてしまう。これでは本物の切磋琢磨ができない。ここ一番の譲れない時であったら、自分らしい主義主張を思い切って言ってみよう。ハッキリとこだわっているを示すことで、どういう個性なのかを理解してくれるだろう。自分らしい一角を見せて、風通しの良い関係を構築していくのだ。

美術も同じようなもの。まずは平和的であること。むやみに先入観で一方的に語ることはよくない。ある程度は相手の個性を見極めてからコミュニケーションを図ろう。また、あまり堅苦しく考え過ぎない方がいい。感性というものは大らかで柔軟なもの。四角四面にしてしまえば、屁理屈しか浮かばなくなる。美術作品は短所と長所が表裏一体で成り立っている。所変われば品変わるではないが、ほんの少し観方を変えただけでも、印象は大きく違ったものになる。その人が持つ主観によって、なんとでも言えるものなのだ。一角を適切に使っていって、本気で美術談義ができる仲間と知り合い、向上することを目指しましょう!