十人十色

「尋ねる者は山々を越えて行くだろう。尋ねない者は平野でも道を失うだろう」というトルコのことわざがある。
何年かに1度、「美術のことならまかせてけ!」という自信家と出会うことがある。いわゆる美術ことならよく知っていて、なんでも理解していると胸を張っている人だ。しかしながら、このような態度を取る人は、ちょっとばかりできるレベル。少しぐらいできただけで、心は既に大家の域に達している。つまり、自分がよくわかっていないことがわかっていない。独りよがりで自分勝手に実力者だと思い込んでいる。どんなにしゃにむに押し通そうとしても、自己中心的な行動は暴走にしかならないだろう。
だからこそ、自分自身の今のパフォーマンスを把握するために、いろんな人とコミュニケーションしてみよう。自分を深めるために他者と出会い、さまざまな意見や評価を受け入れながら、学びを求めることで世界観は広がってくる。それゆえ、新鮮な空気が入ってくるように、好き嫌いなくいろんな顔ぶれに会うこと。マンネリにならないように、緊張感のある仲間を求めていく。ダイヤモンドはダイヤモンドによって研磨するように、美術の才能は語り合うことで鋭さが増す。美術に夢中になれる仲間たちと切磋琢磨しながら学び合っていこう。