温故知新

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一昨日、約30年前に買い漁った現代美術の本がいくつも出てきた。嗚呼、なんて懐かしい・・・っていうより、まったく覚えていなくて恥ずかしかった。ちなみにこの本は日本へ海外で活躍する現代美術家の進出が急速に増えたバブル経済の絶頂期に出版される。当時、次々に都会の画廊やギャラリーでは、これまで観ることができなかった作品展が企画された。それこそ、今も人気のあるキースヘリングやバスキアの展示をあって、小規模のスペースのため、作品展数は限られて少ないけれど、目の当たりでかつ入場料なしで観ることができた。しかも現代美術はマイナーだったからガラガラで、好景気に湧く都会の片隅で美術を堪能することができたのだ。

私はそのようことで現代美術にかぶれてしまい、その予習と復習のために専門の雑誌を購読する。最先端の美術情報と信じてバイブルのように読み返した。しかし、とにかく作品解説の文章の意味がよくわからなかった。私の美術レベルが未熟で低かったことを考慮しても難解さは否めない。よく言えば書いた人の個性的なキャラで押し切る文章。観念的な言葉が散りばめられていた。おそらく江戸から明治になった頃と同じで、いきなり未知のものが入ってきたので、適切な言葉で対応しきれなかったのだろう。やはり細やかな情報の少なかった時代に、ただただ強引に書き綴ったように思える。

また、元号は代わったのに、昭和の流儀が色濃く残った時代。言葉を曖昧にぼやかすことができず、ボキャブラリーを拾い集めて、強引に説明しようとしていた。グレーゾーンを使うのは後ろめたかったのかもしれない。それにしても、改めて読むと変化していることがよくわかってくる。今現在、海外のアートシーンはネットのおかげで必要な情報を手に入れやすくなった。最低限でもアウトラインはクッキリと見えてくる。こうしてみるとこの30年間に美術情報は大きく進歩して、いろいろな国の美術家との出会う可能性が広がってきたのだ。オープンな心で楽しんでいきましょう!