井の中の蛙大海を知らず

f:id:gallerynakano:20200705223151j:plain


ことわざの「井の中の蛙大海を知らず」とは、井戸の中のかえるは大きな海を知らない。狭い見識にとらわれて、他に広い世界があることを知らず、自分の住んでいるところがすべてだと思い込んでいる人のことをいう。この意味をあらためて読んでみると、しみじみと私もその1人だと思ってしまう。なぜなら、いつも井の中で生活している。ほとんど山口から出ることがないからだ。若い頃は無理をしてあちらこちらへ飛び回ったものの、近年は居住地の山口市から出たこのない日々が増えて、文字通りに井の中の人間になっているのはたしかだ。

しかし、50代になってから井の中のライフは居心地がいいものだ。なぜなら、これまで長い年月をかけて出会った人たちのおかげで、井の中にいても必要な情報や発想、考え方などが身近になった。特に彼らが発信するSNSを閲覧することで、新しい話題がタイムリーに入ってくるため、どんどん好奇心は刺激されてイメージが膨らんだ。百聞は一見しかずは事実ではあるけれど、信頼できる仲間が発する情報は、不思議なくらい骨身に染みて伝わってくる。こういう形で美術と付き合えるのは新鮮に感じて実に楽しい。また、私では気付けないことを細かく見つけて、独自論で語ってくれるから面白くてたまらない。異なる視点から観ることの大切さを感じさせられている。

ただし、私なりに1つだけ注意していることがある。それは浅いコミュニケーションだけに終始しないこと。私はSNSでわからないことや疑問点などがあったら、直接と本人とコンタクトを取って確認している。それは電話だったり、メールだったり、こっちへ帰省した時に会ったりして、曖昧なままにしないようにしている。頭の中に記憶することができなければ、せっかくの感性を磨くチャンスを逃してしまう。浅いものはいくらあっても浅いまま。井の中の蛙大海を知らず、されど空の青さを知るを実践するために、人と人のコミュニケーションを疎かにせずに、いつも美術と密な関係を保っていきましょう!