窮すれば即ち変ず、変ずれば即ち通ず

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2013年5月、当ギャラリーで若者が企画した公募によるポストカード売上コンテストで初めて知り合う。会期中、彼女はずっと会場に在住していたので、頃合いを見計らって声をかけてみると、このグループ展へ不退転の覚悟を持って参加していたことを知る。そう、「もう一度、夢に向かって挑戦していこう!」という、そのハートの熱さにびっくりさせられたのだ。

実は子供の頃から秘かに自分の個性を活かした仕事をやりたかった。いわゆる才能を糧にしてメシを食っていこうと願っていた。だけど、現実は甘いものではなかった。いくつもの壁にぶつかって屈してしまう。私には実力が足らないから無理なんだ。夢を諦めて次のことをして生きることを選択いていった。それから真面目に働く日々が続いていく。それなりに人生を謳歌していったのだが、ふとある日、私の生き方は本当にこれで良いのだろうか?と、年齢を重ねていくうちに不安な気持ちが噴出し始めてきた。一度しかない人生だから悔いなく生きなければならない。このようなことを考えてはあれこれと悩むようになってきたのだ。

そして、ついにある日のこと決意する。「よし、再スタートだ!」。どうしたらいいのかはわからないけど、まずは前へ踏み出さないと何も始まらない。そんな時、偶然にも新聞でこのグループ展のことを知り、わらをもすがる思いで出展しようと決心する。自分の才能のあるなしにこだわらず、まずはこのチャレンジに集中するだけ。あとは野となれ山となれだと腹をくくった。つまり、ピンチの時に自分自身を徹底的に見直し、これまでの行動や考え方を変えていくこと。ことわざの「窮すれば即ち変ず、変ずれば即ち通ず」のように、彼女は果敢に困難に立ち向かったおかげで、創作への道を歩み始めることができたのだ。本当に行き詰まってしまったから、ピンチをチャンスに変化させることができたのだろう。