虎穴に入らずんば虎子を得ず

f:id:gallerynakano:20200905101443j:plain


「弱い羊だけが群がっている世の中など嫌だ。虎の寝そべっている野辺を突き進め」という名言がある。この場合の弱い羊とは、気の合う仲間だけとつるんでいると、同じような考え方に蔓延してしまい、また、仲間はずれになることを恐れて、相手の顔色を伺った行動になりやすいもの。そのうち、お互いに理解を深めるための議論はせずに、なんとなくのノリでことをやってしまう。将来的なことを真面目に考えずに、その時だけを上手く切り抜けるような群れのことを指す。

しかし、それではいけない。この世の中は本気で切磋琢磨できる人を求めるべきなのだ。だから敢えて対立する意見を言う人に近づていこう。ことわざの「虎穴に入らずんば虎子を得ず」のように、相手の意見を柔軟に受け止めながら、良い考え方になるようにしていくことが大切だ。そりの合わない人であっても意見を誠実に聞き、最善になるために必要なものを受け入れて、大きな理想へ向かって突き進むのだと、私は解釈している。

美術家も同じことだろう。時々は自分と異質な発想の持ち主と会ってみたり、趣味ではない美術展へ行ってみることで、新しい発見や思わぬことを知る機会になるはずだ。これまでよくわからなかったことが見えてきたり、自分がやるべきことのヒントになることもある。人は誰もついつい見慣れた顔の連中と言い慣れた会話をして過ごしていたいもの。だけど、いつもの仲間たちとばかりつるんでいると、そばにいてくれるだけで安心感はあるものの、ものごとを別の角度から見ることがなくなり、ものの見方の幅が狭くなってしまいがち。好き好きの偏った価値観にならないように、普段は触れないことにも目を向けていきましょう!