将来の芸術

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先週、中原中也記念館で作品展示を見て以来、中也についての書物を少しずつ読んでいる。過去になんども目に触れる機会はあったけど、本家本元の詩の世界についていけなくて、いつの間にやら興味が移り変わっていく。そんなに好きでもないから、これくらいでいいやと見切って、軽くかじった程度で離れていった。

しかし、このたびハマったのは、中也のユニークな人物像に気付いたから。それによって生まれたエピソードを知れば知るほど、心の底までしびれることばかり。ググっと急速に親しみが持てるようになった。ようやく自分に向いた入り口を発見する。そこから中也との旅をぼちぼち楽しむ。

その中で気になったのは、中也が中学時代に弁論部に所属し、「将来の芸術」と題して出場した大会のこと。これ以上のことは記載がないため、どういう主張だったかはわからない。だけど、文化のことならムキになってしまう中也。純粋にハートを燃やしていたことは想像に難くない。このタイトルに込められた熱い思いに、文化への考えや信念があったことを感じる。早く大人になりたかったのか?それとも少年のままでいたかったのか?いずれにしても未来系の魂は今もふつふつと煮えたぎる。その詩は将来も芸術として心に響き渡っていくだろう。