進化系

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12年前、私の前に表れた彼女の第一印象はゆとり世代の申し子。伸び伸びと素直に育って、反面、純粋ですぐに傷つきやすそう雰囲気。何を語りかけても反応は鈍くて、回答はモジモジして遅くて、しかも常識からズレていた。いわゆる夢見る夢子ちゃんだと思っていたが、それはまったくの誤解だった。

単純にコミュニケーションが苦手なだけ。美術への信念はとてもしっかりしていた。そのことは月日が流れるととも明らかになる。美術に人生を捧げる覚悟があって、その本気さは半端でないことがよくわかった。きっと彼女ならやり抜くのではないかと期待するようになっていった。

そんな彼女は一人前の域に達しようとしている。まだまだ発展途上ではあるけど、それなりに自分のリズムで表現できるようになった。自分らしい個性的な世界観も掴みつつある。だけど、いろんなことに迷っているのは今も変わりない。より良い作品にこだわるからこそ、あれこれと考えては悩んでいる。もどかしい思いを交錯させながら、独創的な作品を目指して努力あるのみだ。とにかく彼女の理想は高い。これからも美術漬けの日々を貫いていくだろう。