妖怪革命

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昨夜、ふと気まぐれに大学入学共通テストについてネットで閲覧していると、前年度の国語現代文出題にあった「江戸の妖怪革命」が目にとまる。これはフィクションとしての妖怪はいかなる歴史的な背景のもとで生まれてきたのかを考察した文章で、目で追っていくとなかなか面白くて一気に読み終わってしまうほど勉強になった。

ポイントをざっくりとまとめれば以下のようになる。『妖怪』とは、日常的理解を超えた不可思議な現象に意味を与えようとする民族的な心意から生まれたもの。人間は常に経験に裏打ちされた日常的な原因ー結果の了解に基づいて目の前に生起する現象を認識し、未来を予見し、さまざま行動を決定している。ところが時たま、そうした因果了解では説明つかない現象に遭遇する。こういう形容しがたい意味論的な危機に対して、それをなんとか意味の体系のなかにもどすための文化的装置で、秩序のある社会のなかで生きるうえでの必要性から生み出されたものであり、それゆえに適度なリアリティーで表現されている。

私はこの文節を読んでみて『妖怪』を『アート』に変えてもいいじゃないかと思った。もちろん、具体的に何かが表現されたものではない。観る人の感性に訴える抽象的な想像物のこと。わかりやすい基準で表現されていないものは、『妖怪』と同じで不思議なものだと言えるだろう。普通の人はイレギュラーなものに接すれば、精神的に不安になったり、恐怖を感じることがある。常識からはみ出したものに弱くて、疫病神から逃れるようにジタバタしやすい。だからこそ、よくわからない創造物に触れていこう。この世にはまだまだ未知なものが溢れている。常識の壁の中で安住するような生き方では豊かな人生にならない。新しいものへの探究心と好奇心を活性化させて楽しんでいこう!