暗黙の了解

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『暗黙の了解』という慣用句は、口に出して明言しないものの、当事者間の理解や納得が得られているさま。言葉にしなくても皆が了承していることを言う。美術の世界には、この暗黙の了解と同じようなものが存在している。それは、個々の人々の生まれ育った環境などによって、同じ作品でも異なった印象や意味になるからだ。創る人も観る人も自分らしく楽しむためには、弾力性のある感覚的なものでなければ、その作品から醸し出されるものを自由に堪能できない。白と黒の間にある無限グレーゾーンを寛容に認め、ハッキリとしないルールしていくことで、美術をオープンなものとして親しみをもたらすことができるのだ。

ちなみに、盗作のように明らかなご法度なものをはじめ、強い嫌悪感を抱かせるものや誹謗中傷に誘発させるもの、著しい猥褻な表現、公序良俗に反するモラルの低いものなども禁じ手になる。このことは一般常識で考えても同じこと。美術とはいえ大きくかけ離れてはいない。また、マナーやエチケットも似たようなもの。創る人も観る人も表現の自由を満喫するために、どんどん知識や意識を高めていって、美術界の一員として節度のある行動が大切になるのだ。いろんなことを謙虚に守ってこそ、美術は優雅で心に響くものになっていく。目に見えないルールをわきまえて、創作の美しさを謳歌していこう。