知っていく

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昨日はアスピラート(防府市)で開幕した中村祐介展へ。私はこの作家をほとんど知らなかったが、美術界は早いスピードで多様化しているため、どんな分野も触れておく必要を感じて参上する。とにかく、自分が今すぐにできること、プラスだと思うことは何でも取り組む。感性を磨くには小さなことの積み重ねしかない。積極的にやっていくうちに、あーっと感じることと、偶然に出会えれば上出来だと言えよう。
美術の世界は一番広い太平洋みたいなもの。すべてを知り尽くすことは天才でも無理なこと。国の数だけ、民族の数だけ、宗教の数だけ、そして、人の数だけ美術がある。それらすべてを知るなんてあり得ない。例えAIが進歩したところで、最終的には人間の主観で見識や論理などが打ち込まれるから、決してその時代にあった完璧なものは生まれない。常に新陳代謝によって変化するので、最善の答えでとどまるのだろう。
つまり、美術を知るために近道はなし。堂々と遠回りをしていこう。美術の世界へ立つには自分だけの価値観では成り立たない。まずは自分自身の嗜好を知ること。自分の好きも嫌いも得意も不得意も知り尽くす。こうしてなんとなく自分の輪郭線が見えてくる。それから目をそらしてはならない。なぜなら、自分に自信をつける鏡になるから。良くも悪くも見えてくる自分。それを真摯に受けとめてみること。不安というものは自分が全く見えない状態でいること。ほんの少しでも見えれば不安は解消されていく。もうひとりの自分を知ろう!未来を歩む自分を知ろうとすることで、これからやるべき課題が見えてくる。こうして自分を知ることで、美術への自信が育まれて、さらに面白くなっていくはずだ。