Line

いわゆる今目の前で見たことや聞いたことを、真面目で直線的に捉えてしまいやすい人は、ユーモアと美術のセンスが弱かったりする。しかし、そうなった人のほとんどは今の学校教育のカリキュラムによる後遺症。授業中に出題に正解することだけが求められている以上、その問いからはみ出して、どんなに面白い回答であっても評価されることはない。

むしろ、わからないことを誤答するより、うつむいて黙っている方が得策だと教え込まれている。自らの知見で回答が難しい状況では、目立たないようにうつむいて、万一、回答を求められれば、当たり障りのないことだけを語っていればいい。その場しのぎのことに終始して、自分の地位や安全を守る行動こそが、自己利益になると教育されたつけなのだろう。

ところで、昨日は新山口駅すぐそばで開催中の「Line 川部那萌写真展 」の会場へ参上。川部さんとは、先月企画したコサカダイキ君の個展の時に知り合う。パッと見ただけで創作している人だとわかるほど柔和な雰囲気の持ち主。すぐに何をして何を創っているのかを尋ねると、下関市の田舎に生まれて、県立大学文化創造学科4年生だと言われた。

私はてっきり社会人だと思った。なぜなら、品のある落ち着きがあったから。だけど、写真は大学に入って始めたとのこと。確かに写す技術力はまだまだ甘いけれど、それを補わって余りあるほど、独自性の高い視点とコンセプトを感じる。私からの質問にはたどたどしい答え方はするものの、しっかりとした彼女らしい信念があって、もっと写真を上手くなりたい意欲が伝わってくる。私はただこれからの活躍を祈るばかり。その高い熱量を発揮して厳しいイバラの道をどこまでも歩き続けることを期待する。