若い時の苦労…

ことわざの「若い時の苦労は買ってでもせよ」とは、若い時の苦労はその体験が将来役に立つから、自分から買って出ても苦労せよという意味である。しかし、今の時代の若者は高齢化社会のど真ん中を生きているため、公的年金や健康保険料の大きな負担額が背負わされたり、日本経済の失速による実質賃金が伸び悩みなど、私が若かった頃に比べたら、何も買う必要がないほど苦労をしている。言いかえれば、私からしたら想像できないことで傷ついていたり、嫌な思いをしている割合が増えている。ただ好き好んでおとなしくしているのではない。元気が湧きずらい社会だからおとなしいのだ。

要するに心が折れそうなくらい、大変な思いをしているのだ。それを癒していくには一緒になって何かをやって、心を落ち着かせてリラックスさせることが必要なのだ。とにかく、無理なことをさせてまで頑張らしていけない。じっくりと、自分のペースで直感でピンとくるものに向かって進めばいい。夢を実現するために気合を入れ過ぎてしまって、途中で息切れして失速することなく、やけくそを起こしてしまうことなく、少しずつでも前へ向かってさえすればそれでいい。傷があった方が上手いのはリンゴだけではない。

私はこれまで若いうちに賞などに輝いたのは良かったが、その後は伸び悩んだ美術が多いことを知っている。始めよければすべてよしなんて、今のような激動の時代には似合わない。むしろ、始めよければあとは怖いだ。こんなに変化するスピードが早いのなら、スタートでの出遅れはなんてでもなる。そもそも新人賞などの若手の賞の賞味期限は短い。せいぜい、3年くらいのもの。むしろ、創作人生はマラソンみたいなもの。本当に力があれば、折り返し地点も行かないうちに追い越せる。始めに上手くいかなくても腐らずやればいい。この時代の試練を真正面から受け止めて、今できることに取り組んでいこう!