後ろ姿

「後ろ姿を覚えねば、姿の俗なるところをわきまえず」という世阿弥の名言がある。
この言葉は自分の姿を前後左右の角度から、よく見つめて知ることが肝心である。いわゆるメタ認知と同じようなことで、客席にいる観客ような厳しい目で見なさい。自分を第三者的に客観的に外から観る努力が必要だという意味である。
人は誰も年齢を重ねてくればくるほど、地位が上になればなるほど、その人の良くなく改めることを、率直に注意してくれる機会がなくなり、ついつい周囲が遠慮して何も言ってくれなくなる。だからこそ、自分自身の後姿を見ることを忘れないこと。自分が卑しくならないために、突き放して見ることが大切なのだ。つまり、独りよがりになることなく、常に客観的な目で自分のことを見るべし。今の時代にもこの姿勢は通じることで、自分を戒めて成長させるために、大いに活用すべきことだろう。