柔軟性

いつも新しい作品を創り続けていくこと。それはとても大変なことで、簡単にできることではない。この事実を踏まえていれば、様々な困難は想定内となる。上手くいかなくても慌てず、違った手段を模索したり、また、行き詰まらないために、いくつもの打つ手を準備することができる。用心深いからこそ、対策を考えられるのだ。
よく自分は能力が十分あるのにも関わらず、適切に評価されないのはおかしいと、真面目に考える人は美術の世界に向かない。自分の素質を信じて貫いていけという発想は、趣味でやりたい人ならともかく、いろんな価値観が渦巻く創作の世界で生きていきたいのなら、ある程度のことは勉強しないと通用することはないだろう。
ただし、芸術家を目指すのならば貫けばいい。自分の好きものを好きにやることが正しい。けれど、みんなが芸術家になりたいわけではない。いやいや、例え芸術家であっても、昨今はそういう考え方では生き残れそうもない。世界中のどこの国とでも繋がり合い、多種多様な文化が混在する時代は、情報を研究する力がなくてはならない。つまり、思い込みの力業で押し切るのではなく、情報をバランスよく取り入れて、柔軟な姿勢で創作することが大切になるのだ。