岡本太郎の著書の中に「現代では素人だってなにかつくるとき、玄人の真似をしてしまう。だからつまらなくなる。玄人の真似をしない徹底的な素人の感動を、私は『猛烈な素人』といっているのだが、それこそが芸術のほんとうの契機だと思う」という言葉がある。
美術の世界では、周囲の人たちがよかれと思ってアドバイスをしてくることが多い。その人の評価が少しでも高くなるために、名品とされるものを手本にして、よく観察すればいいと押し付けてくる、けれども、そのような誘惑に乗ってしまうと、似たり寄ったりした作品の仲間入り。あちらこちらの意見に耳を傾けると、知らず知らずのうちに直観力を鈍らせる。自らの好奇心を掻き立てて、自由に想像する力を失っていく。
だからこそ、他人の言動に惑わされることなく、感性にひらめくものを信じてみる。その瞬間に頭の中に浮かんだイメージを膨らませよう。世間一般の知識や常識に惑わされてはいけない。自由な視点で見つめて面白がっていけば、ユニークな発想に繋がっていくはず。故に、いつまでも初心者のような目で見つめて、固定観念に捉われない大胆な切り口で、新しい創造へ挑戦することが大切になるのだろう。
