さくらさくらさく さくらちるさくら

「さくらさくらさく さくらちるさくら」とは、漂泊の俳人 種田山頭火の句。いわゆる山頭火がつくる句は、胸の奥から湧く魂の叫びであり、念願としていることでもある。また一句は一皮だと例えて、一句詠むたびに古い一皮を脱ぐとする。一句により身心脱落の世界を求めて、悟りの境地に近づこうとした。つまり、その日その日に感じたことをどのように表現していくのか?そして、それが本当にそうなのかを問い続け、身心から絞り出たものを句にしたのだろう。
「さくらさくらさく さくらちるさくら」。今の楽しみも喜びも永遠ではなく一時的なもの。今の苦しみも悲しも永遠ではない。現世はいっ時も待ってくれない。いつの間にか移り変わっていく。それ故、いま巡り合ったことを丹念に味わおう。どこにでもあるようなものにも、そこにしかない美しさが潜んでいる。人生は一期一会の連続。この一瞬に心を込めて、桜のすべて楽しめ!咲くも散るもどちらも素敵だ!私はこのように解釈したのは、俳人は切なさを愛するからだ。