七転び八起き

美術家になりたいと考えた人の多くは、友人知人に褒められて経験の持ち主。その勢いのまま素直に飛び込んでみると、現実はそうは問屋は卸してくれない。すぐに腕のいい人たちがいることを知り、さらにたくさんの偉人先人たちの存在に気が付く。いわゆる高い壁に囲まれてにっちもさっちもいかなくなる。右を向いても左を向いては敵わない実力者ばかり。自分の非力さを真正面から教えられて、そのまま凹んで挫折する可能性は否めない。とにかく、どこまでも厳しい世界であることを身を持って知る。

こういう時にそれまでの人生で負けた経験がある人は強い。この世の中にはキャリアも才能も高い人はたくさんいる。まだまだ自分は新参者だから手が届かないのは当たり前。そんな現実を真摯に受けとめて、どうにかしようと考えていく。今の能力を伸ばすためにやるべきことを試行錯誤する。負けたことがある人は、負けは恥ずかしくないことを知っている。そこで見つかった課題を克服すれば、今より成長できることを理解している。つまり、最善を尽くしたことなら負けても仕方がない。ただし、それでやめずに努力し続ければいい。美術家とは終わりなき旅をするようなもの。負けを楽しむ度量がなければ続かないだろう。