はみ出す

その昔から「美術家って、我がまま気ままな人が多いですよね」と聞かれることがある。これは他人と創作のことで意見がぶつかっても譲らず、なお自分の思いどおりにしようとするからだ。また、作品制作しようと絵筆をとってみたものの、調子が上がらず途中で簡単にやめるという、自分の気持ちの向くままに行動するから、そういう風に言われても仕方がない。自分の都合だけで行動する人だと思われるのだろう。

それともう1つあげるとすれば、世間一般の常識に反発して、独自性のある言葉で語ろうとするため、周囲の人たちに心地悪い言動をして誤解される。そんなつもりはないのだが、大人の純粋な行動は子供と違い、寛容に受けとめてもらえないので、異端児として扱われるのだろう。ただし、我がまま気ままな人が美術家に向くことはない。最終的にはどこか憎みきれないのが美術家。どうしても個性的で輪からはみ出す人と、身勝手で輪を乱してはみ出す人とは全く違う。持ち味の1つでなければならないのだ。