知足

徳川家康が残した名言に「不自由を常と思えば不足なし」がある。この言葉は不自由なことが当たり前だと考えれば、わずかな成果しか期待できないから、やっても無駄なことだと不平を漏らさなくなる。例え思うようにならないことや不便なことがあっても、それが当たり前のことだと考えれば、不満に思うことがなくなるという意味である。
いわゆる夢のような理想ばかりを追えば、心は満たされず不満にさいなまれる。実際にはできないことを求めている限り、いつまで経っても手応えを感じることはない。それ故、ことわざの足るを知る者は富むの如し。分相応に満足できる者は、生活は貧しくても心は豊かである。欲望を抑えて不満を捨てることで、心の安らぎが得られてくる。
ちなみに私は田舎でギャラリーを営んでいる。決して都会のようなことはできないけど、ここにはここでしかできないことがある。だから、ないものねだりするのではなく、あるものねだりをして楽しめばいい。足らないものの不便不自由はさておき、ここにあるものに目を向ける。足元に転がっているチャンスを活かすことが大切なのだ。