唯一無二

美術は作品評価の善し悪しを競い合う世界ではない。作品評価の善し悪しを超越するものを目指すだけ。いわゆるすぐれた作品というものは、それぞれが自分の個性を発揮したもので、それによって一つの独自の世界が生み出されてくる。他人とは関係なく、自分の能力を思う存分活かすこと。それぞれが自分の能力が惜しみなく出し切ればいい。

それ故、その都度その都度やるべきことをしっかりとやっていくこと。自分の個性を発展させることに精一杯努力するしかない。自分らしさを磨くために目の前の課題に取り組み、それを乗り越えられるように創意工夫していく。センスや技術が増すにつれて、個性はよりその人らしくなり、そのまま独自性のある表現力のあるものを創り出す。

つまり、自分自身をよく知ることこそ、創造力を高めるための基礎になる。自分を深く掘り下げて個性が際立ってくれば、他の人の価値観に振り回されなくなってくる。人との比較で価値を見い出すのではなく、どこまでも自分の創作に価値を求めてみよう。頭で知ることもいいけれど、身をもって知るということが何よりも大切になるのだろう。