褒めること

この世の中は人の欠点をあげつらうことは簡単なことである。なぜなら、人はそもそも神様のように万能ではないから、いくら真面目にやったとしても失敗は付きもの。それ故、何もしないでじっと幸運と巡りあう日を待つより、何回失敗してもいいから挑戦した方がいい。いろんなことで失敗をすれば、学びへのモチベーションが高まってくる。

ちなみに美術家の欠点を言うことはとても簡単だ。その表現方法が時代遅れとか、もっと美しく描けるはずだとか、とにかく劣っている点に目を向けて、揚げ足をとることは見やすかったりする。反対に長所をきちんと褒めることは意外と難しい。的確に褒めなければ言葉が宙に浮くだけ。ある程度美術を理解していないとお世辞にしかならない。

だから、ちゃんと褒めることができる人は偉大だ。ひとつでも相手の良いところに気づくと、少しでも良くなるように知恵を絞っていく。その人の良いところを観つけ出して生かそうとする。人と人とはみんな違うから面白いもの。人と違うことは欠点ではない。そんな本質がなんとなくでもわかる人の周りには自然と人が集まってくる。いつも明るい美術談義の輪ができるだろう。