分をわきまえる

「分をわきまえる」という言葉がある。その意味は自分の身の程や分際を承知して、出過ぎたまねをしないこと。自分自身のことを客観的に見つめて、正確にできることと、できないことを知った上で、身の丈に合う手段で努力していくこと。何かの目的を達成するためには自分を知り、それに見合った行動をすることが最善の策だと言えよう。

とかく、どんな人も年齢を重ねれば重ねるほど、地位が上がれば上がってくるほど、その人が改めるべきことを率直に注意されなくなる。いつの間にか周りにいる人たちが気を使って何も言わなくなりやすい。だからこそ、風通しの良い人間関係に心掛けていくこと。あえて教えられる側に身を置いて、初々しい謙虚さを思い出すことが大切だ。

私は若者に質問することが多い。その理由はゼネレーションギャップがあるため、よくわからないことが増えているから。ただし、やはり知らないことを知ることは楽しい。新しい感覚や表現があることを教われば、好奇心は掻き立てられていくばかり。老化で忘れっぽくなった個性を活かせば、なにごとも新鮮な気持ちで学び直せるのだろう。