歌うたう私に

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ちあきなおみさんが歌う「喝采」。私が小学2年生の時に流行った。テレビ番組を見て、初めてなんとなく覚えた大人の歌。しかし、特にこの歌が好きだったとか、歌詞がいいなんていう感性はまったくない。子供だったから好きな訳もない。
 
それなのに、なぜ、この歌が耳に残ったのかというと歌い始めの歌詞の複雑さ。「恋の歌うたう私に」がうまく聴き取れなかった。当時、テレビには字幕はないし、歌詞のわかる本も身近になかった。だから一生懸命、耳を澄ませて聴いたのだが、さっぱりわからない。そこで親などの大人に聞いてもピンとくる回答はなかった。そもそも歌詞がわかっても意味はわからない年齢。もやもやさせられた歌だった。だけど、次から次へ新しいものに興味が湧く時代。いつの間にやら忘れてしまった。
 
ずっと不燃焼だった「喝采」。約10年前、偶然に見ていたテレビ番組の特集で歌詞と意味を初めて知った。苦節30年ほどかかって、胸の中でスッキリした。永久凍土の中に眠っていた小さな記憶の破片が解消された。よかった~~。
 
そんな私の人やモノへのこだわり人生。この「喝采」から始まったのかもしれない。いや、小学2年生くらいになれば、自分の楽しみを自分で見つけ始める時期なのだろう。なんてたって、私には同じ頃から今もこだわ続けていることがある。それは阪神タイガース!私の人生の根っこにある存在だ。おかげで「結果」ではなく、「ゲームの過程」や「人間ドラマ」の大切さ…というのか、そちらに楽しみを重視する人生を歩む。これはこれでいいのだ!「美術」と付き合うために必要な土壌を培うことができたからだ。だけど、スッキリとしたい。そろそろスッキリとさせて欲しい。もやもやは続きっぱなしだから。クライマックスに勝って、日本シリーズに勝って、「六甲おろしの歌うたう私に」なりたいものだ。
 
※画像は2005年、染織家・紀田秀夫氏からのいただきました