徹頭徹尾

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昨日のNHK連続テレビ小説「エール」。国民的作曲家 古関裕而氏をモデルにした物語。主人公は欧州の音楽祭で2位になり、英国留学が決まった矢先、世界恐慌で行けずに挫折してしまう。それを見たヒロインが地道に駆けずり回って、ようやく国内レコード会社で作曲の仕事を見つけるが、主人公の母親が「厳しい(音楽の)世界であの子(主人公)が傷つくのは、もう見たくない。身の丈にあった幸せを掴んで欲しい」と言って猛反対するシーン。胸に突き刺さってくる言葉だ。ヒロインも母親もどちらもが正しくて、なんとも言えない気分になってしまった。

なぜなら、私も美術家を目指していくがゆえに、その厳しい現実に打ちのめされて、傷ついた人をこれまでそれなりに見てきた。どんなに自分が上手くなっても上には上がいる世界。さらに同じようなレベルの人は山のようにいる。これくらいの才能しかなくて、果たしてこのまま頑張ってやっても、やっぱり無理なことかもしれない。そう悲観的に考え込んで傷つきやすいものなのだ。

もし、そんな人と出会うことがあったら、主たるアドバイスは2種類ほどある。それは諦めた方がいいか、やり続けた方がいいかの2つだ。諦めると違う世界での楽しみが待っている。だから決して悪いことではない。また、改めてやろうと覚悟できるのなら、それはそれで徹頭徹尾に創作していこう。つまり「人生はキミ自身が決意し、貫くしかないんだよ」という岡本太郎氏の言葉のように、美術に没頭することで傷の痛みを忘れて、才能の限界なんかも気にならなくなる。挫折しそうな心の闇を追っ払い、未来に向かって心を奮い立たせていこう。好きで選んだ道なんだから、どんな苦労も我慢も付きものだと達観して、自分らしく創作していきましょう!