純粋純情

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昨日、県美での山大卒業制作展へ。ちょうど出展者によるトークの時間と重なり賑わっていた。いつもながら卒業制作展というものは、学生時代の最後のページを彩る舞台。ひとりひとりが最高のパフォーマンスを求める。誰はばかることなく期待に胸を躍らせて個性的な創作を目指す。このような思いっきりのいい世代は、若さが持つ不思議な力を見せられることが多い。これまで培ってきた力と心が連動して可能性が広がっていく。ここ一番に集中することで土壇場の使命感がミラクルの表現を創り出す。
そんな120%の力を感じる作品群。いわゆる飛び抜けたものはなかったけど、目を見張るべき作品はいくつもあった。その中の1つに現代の高齢化社会について、若者目線で憤りを感じて嘆く作品と出合う。公的年金は現役世代が受給世代を扶養する仕組み。これから社会に出て、その大きな負担額を背負うをことへ不安と不満をシュールに表現していた。これは悪意に満ちた嫌味なものではない。あくまで現実を受けとめようとするあまり、フリーズダウンした心模様を描いた痛々しい作品だった。
しかしながら、作品解説に仏教用語の悟りを用いて、本音はめんどくさいけれど、みんなで生きるためには必要だから、社会の一員として年金支払いはやるべきことだ、と開き直るしかないという寛容な心情が書き綴られていた。彼のモットーは、世の中の不平等さや理不尽さと向かい合い、思うようにならないことを浮き彫りにしていく。ネットニュースをチェックして、経済対策も社会保障も将来の世代にツケをまわす政策に失望しながら、だけど、生きる以上は希望が欲しいからと、時には現実を切り捨てて幻想に生きることも大切だとしている。だから、頑張れ!私はただエー