三方良し

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近江商人の心得と言えば『三方良し』である。これは売り手よし、買い手よし、世間よしのことで、売った商人には利益が生まれて、買ったお客様にも喜んでもらい、さらに社会にも役立ち豊かになる商いを目指すことだ。つまり、自分ばかり儲けようという発想では、いずれその下心はお客様にばれてしまって、だんだん人が離れて商売が成り立たなくなる。

だからこそ、社会との関わりを大切にしていく。人は自分ひとりだけで生きているわけではない。知らず知らずのうちにまわりの人と繋がって、互いに影響し合いながら調和を取っている。それ故に世の中の人たちに喜ばれることをすれば、結果として商いも発展するという前向きな考え方だ。

美術も同じように、美術家(売り手)よし、鑑賞者(買い手)よし、そして、美術によって生きていくために必要な感性を豊かにすることでの世間よしで、三方よしとして関わっていきたい。美術は美術家と鑑賞者との共同作業によって、さまざな想像上の創り出して五感を刺激していくもの。自分勝手に好き勝手やることを独創性とは言わない。独創性とは新しい創造力で表現していくこと。多くの人たちと何かを共有したり、わかちあいながら美を求めることが大切なのだ。どこまで興味を持たせて引き込んていけるのかに挑戦するのみ。どんなに失敗しても続けていって、正確に伝えることに捉われないで、個性的なものをむき出しにいけばいいのだ。