キセキ

芸術家のピカソが残した「絵の玄人なんていうものは、絵描きに対してロクなアドバイスをしない」という名言がある。この言葉は美術の本筋を理解した玄人は、基本に忠実な作品制作をするため、こうあるべきだという既成概念に捉われて、限定された世界でしか通用しない表現になりやすい。要するにありきたりな作品を良しとする人が多い。

そうではなく、素人だからこそ玄人では気づかない世界観を発見できる。きちんと手順を踏まえた人とは違い、大胆な切り口から奇想天外なものを創り出す。あまり本筋を知らない人の方が自由な感覚で創作していける。つまり、真っ新な純粋な目で着想できる人は、新しい感覚に満ちた表現を生み出せる。よく知らないことは武器になるだろう。

ところで、約5年半前に出会った頃のコサカダイキ君は、唯一無二としか形容できない存在。なぜなら、技術やセンスはプロレベルなのに、美術に対する知識やお点前は皆無に等しく、しかも自分の才能にも気づいていない。もう奇跡的な人生としか言いようがない。だったら、そのまま奇跡を活かしたらいい!ドラマを超えるドラマを色鮮やかに描いていけばいい!