『北風と太陽』

イソップ童話の『北風と太陽』とは、どちらが偉いのかを口論し、旅人のマントを脱がせた方を勝ちにして競い合う物語。北風はマントを猛烈な風で吹き飛ばそうとするが、旅人は寒さもあってマントをきつく身体に巻き付けて剥がれない。片や太陽は旅人を暖かく照らすと、身体がポカポカして温まって、コートをあっさりと脱がせて勝利した。

このお話の教訓は、人は力づくで物事を動かそうとしたら、頑なになって激しい抵抗にあう。それより人に大らかな気持ちで包み込むように近づいていけば、こちらの意思を理解してもうらえるようになっていく。つまり、人は強引な態度で接しても動いてくれない。自分勝手を抑えて誠実な態度で向き合えば、互いの心と心で通じ合えるだろう。

美術家を目指す人も同じことが言える。押しの一手で自己アピールしても反発されるだけ。全知全能への幻想から目覚めて、現実の中で生きていくこと。今できることを精一杯やれば、背中のオーラが輝き始めてくる。その明るい光で未来を照れせば、夢と希望の光は大きくなって、太陽みたいな暖かいエネルギーを発して、鑑賞者の創造力を豊かにしていけるはずだ。