阿鼻叫喚

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昨日の夕方、ほぼ毎週末にやって来る友人に、映像と空間芸術の作品展へ行くことを勧める。この近くで2日間しかないから、思い切って行きなはれと背中を押す。そこで彼は素直に会場へ向かった。美術を今宵なく愛して面白がっている人物。それなりに楽しんでくるだろうと楽観して送り出す。

それからしばらくして、彼は顔を真っ赤にして戻って来て、開口一番「展示されたミシンに布がかけてあって、なんだか弔いのような悲しみを感じた」と語ってくれた。おおー、真正面から受け止めている。そして、「あの世との境界線に立たされたような、刺々しい表現にびっくりした。このままでは今夜は悪い夢を見てしまいそう」と、作品にインスパイアされた様子。いや、未知との遭遇が正しい表現なのかも。とにかく形容し難い不思議な感覚を浴びて動揺していた。

そこで「ここまで堪能できたことは素晴らしい。さすがと言うべき瑞々しい感性。自分らしい正直な感想を称えます!」と拍手した。自分の気持ちに嘘をつかないこと。他人の言葉に流されず、自分らしい言語で語ってくれた。「澤登恭子展 ロンド 繰り返し見る夢の続き」。ほんの短い期間の作品展でも、とてつもなく大きな波紋を残した。まだまだいろいろな角度から語り合える。密度の濃いい作品の鑑賞は、なかなか余韻が冷めなくて、想像の刺激を燃やしてくれる。