チャレンジャー

昨日の午前中は今週末で会期が終わる県美術展へ。ひょうや突風の洗礼を受けながら足を運ぶ。本当に修行僧もビックリするくらい激しい天候である。 中也の詠んだ「冬去れよ そしたら雲雀(ひばり)がなくだろう 桜もさくだろう」という短歌が浮かんできた。と…

論より証拠

格言にある「天は自ら助くる者を助く」とは、天は他人の助けを借りずに自分自身で努力する者に力を貸してくれるという意味である。平たく言うと、誰かの力に助けてもらって、どうにかしようとする人に、充実した成功体験は味わえない。人生は自らの手で未来…

関心力

ここ数ヵ月、ギャラリーには美術家を目指す若者が入れ替わりやって来るようになった。その顔ぶれはほとんど初心者。実際に絵の具や鉛筆で描くのではなく、デジタルで描いた作品をスマホで見せてくれる。やはり文明の利器は素晴らしい。作品制作の基礎知識が…

素直さ

岡本太郎の著書に「だれでも、その本性では芸術家であり、天才なのです。 ただ、こびりついた垢におおわれて、本来の己れ自身の姿を見失っているだけなのです。いずれにしても、現在を不毛にし、生活を味気ないものにしている。余計な夾雑物(あるものの中に…

惑星直列

惑星直列という言葉がある。その意味は太陽系内の惑星が太陽に向かってほぼ一直線に並ぶ現象のことだ。今月の山口市はさながら惑星直列と呼びたくなるほど、いろんなアート展が同時期に開催されて、文化芸術の力で街は活気に満ちている。それもその気になれ…

幸福の七ヶ条

漫画家 水木しげる氏の「幸福の七ヶ条(幸福論)」とは、長い年月にわたっていろんな人たちの生き方を観察しているうちに、幸せになるための知恵を七か条にまとめた本のことである。 第1条は「成功や栄誉や勝ち負けを目的にことを行ってはいけない」。第2条…

伝承

昨日のお昼はエフエム山口で新井道子さんがパーソナリティを勤める番組「ひといき-Hitoiki-」のトークコーナーに、今週のテーマが「アートを語ろう」であるため出演する。このようなことはかれこれ16年ぶり。前回も県美展の会期中にお声がかかり、同時開催し…

断捨離

いわゆる断捨離とは、モノへの執着を捨て、不要なモノを減らすことにより、生活の質の向上や心の平穏、運気向上などを得ようとする考え方。ただし、実際にやり切ることは容易ではない。ついつい甘い誘惑に負けてたり、あれこれ雑念が湧いて横道にそれていく…

度量

過去の県美展で大賞を含めて7回ほど入賞した際に授与された表彰状を作品にしてみよう。表彰状という公募展へ挑戦する作家にとって、作品評価を裏付ける権威の象徴を砕いて、ペーパークラフトで新しい価値観を創り出す。過去の栄光にこだわったり、未来へ楽観…

本能

先週より始まった県美術展で栄えある大賞を受賞した井岡義朋さんの絵画作品「鬼哭啾啾(きこくしゅうしゅう)」について、成相肇審査員は以下のような講評を公表した。 一目見て圧倒的だと感じた。兵士、銃撃や爆撃など戦争という主題は明らかだが、大画面の…

沼にハマる

沼にハマるとは、周りが見えなくなるくらい何かに夢中になって、もはや抜け出せなくなっていることを言う。とても多くの時間あるいは金銭を浪費してしまい、人生にプラスの意味でもマイナスの意味でも用いられている。 昨日、ひさしぶりに会った吉村大星君と…

忠告

「弱いものが強いものに勝ち、柔らかいものが剛いものに勝つ。そのことはだれもが知っているが、行えるものはいない」とは老子の教えだ。 かつて、臼杵万理実さんの作品名に「弱虫でもできること」があった。これは20歳前後に絵を思うように描けなくて、嫌に…

面授

松尾芭蕉が俳諧で自然観察について述べた「松のことは松に習え、竹のことは竹に習え」という名言がある。 いわゆる創造力を向上させたいと思っているのなら、創作の極意についてネット検索で調べまくったり、図書館で本を読み漁ったりするよりも、積極的に創…

少年の心

1978年12月、開館したばかりの県立美術館で初めての県美術展覧会が行われた。センスや情熱の限りを尽くす作品主義に立ちかえり、厳選主義を貫いて、若手作家の登竜門的性格を持ちながら、作家同士が競い合い向上する公募展を目指して運営される。まだまだ世…

克己

岡本太郎の著書に「人間というものは、とかく自分の持っていないものに制約されて、自分のあるがままのものをおろそかにし、卑下することによって不自由になっている。自由になれないからといって、自己嫌悪をおこし、積極的になることをやめるような、弱気…

噛み砕く

新井白石が残した「話は相手に伝わることで意味のあるものになる。難しい専門用語を使用せずに説明せよ。聞き手が理解できないので話し手のレベルが低いからである」という名言がある。私は美術ついて語り合う時にいつも心掛けているのは、専門性の高い用語…

大器晩成

「人はどうしても楽な道を求め、同じようなところを歩いていく。そんな人の歩いた形跡ののあるところには、宝(化石)は落ちていない」という名言がある。人は誰でも同じゴールを目指すのなら、最短コースをついつい選んでしまう。如何に効率よく無駄のない…

昨日はイラストレーターりおた君の計らいで、J2リーグで戦うレノファ山口の地元開幕戦のセレモニーに参加する。実は彼がこのたびの開幕ビジュアルを描いたため、試合開始直前にその横断幕をレノファ創世期から支えるサポーターさんたちと一緒に持ってピッチ…

変化するもの

中原中也の芸術論覚え書に「芸術を衰褪させるものは固定観念である。云ってみれば人が皆芸術家にならなかったということは、大概の人は何等かの固定観念を生の当初に持つたからである。固定観念が条件反射的にあるうちはまだよいが無条件反射とまでなるや芸…

チャレンジャー

ヘンリー・フォードが残した「失敗とは、よりよい方法で再挑戦する素晴らしい機会である」という名言がある。 美術家へのスタート地点ではみんなまだまだ初心者レベル。どんな風にやっていけば、独創的な表現にたどり着くのかは、漠然としたイメージしかない…

「美」「術」

漢字の「美」と「術」を合わせて美術になる。その成り立ちは明治初期に万博へ出展する際に、独語を和訳して暫定的に生まれた言葉だと言われている。なんて絶妙なネーミング。本当にこれしかない。辞典には視覚的、空間的な美を表現する造形芸術と書かれてい…

身の丈

アリストテレスの名言に「わたしたちは、年齢に見合った、それにふさわしい性質につねに注意をはらわなければならない」がある。 近年、それなりに美術の世界で生き抜いて来られたので、いろんなことで頼りにされることが増えている。それはこれまで様々なこ…

田舎の学問

画家 熊谷守一の著書に「川には川に合った生きものが住む。上流には上流の、下流には下流の生きものがいる。自分の分際を忘れるより、自分の分際を守って生きた方が、世の中によいとわたしは思うのです。いくら時代が進んだっていっても、結局、自分自身を失…

俯瞰

宮本武蔵の五輪書に「目の付け方は、大きく広く付ける目である。『観・見』二つの目があり、『観の目』を強く、『見の目』を弱く、遠い所を近いように見、近い所を遠いように見ることが兵法では必要不可欠である。敵の太刀の位置を知っているが、少しも敵の…

後天的な才能

坂村真民が残した「天才には、そう誰にでもなれないが、本物には、努力次第でなれる」という名言がある。 ないわゆる美術家とは生まれつき才能のある人が活躍する世界だと思われている。たしかに子供の頃から誰にも教わらなくて高いレベルの作品制作できる人…

褒めること

「創造性は繊細な花のようなもので、褒めることで花開く。反対に落胆させると、つぼみのうちにしぼんでしまうことがある」という名言がある。 私はいつも若者との接し方に気を付けている。よく褒めて育てるなんていうけれど、会って話をして関係性が構築でき…

美しいって

ゴッホが残した「絵になる風景を探すな。よく見ると、どんな自然でも美しい」という名言がある。 先月、山口市はニューヨークタイムズの「2024年に行くべき52カ所」の3番目に選ばれて以来、街には有難いやら嬉しいやら照れくさいやら、でも本当にどう受け止…

自分自身を磨く

松陰先生が残した「勉強しない人の気持ちは3つある。ひとつには『歳をとりました』、ふたつ目は『馬鹿ですから』と。そうでなければ、『私は才能が高く、もう学問は極めました』と」という名言がある。 人は自らが描く未来の理想像の大きさに合わせて成長し…

矛盾

岡本太郎の著書に「純粋であればあるほど人生というものは悲劇だ。人間はすべて矛盾の中に生きている。だから矛盾に絶望してしまったら負け、落ち込むのだ。それよりも、矛盾の中で面白く生きようと、発想を転換することはできないだろうか」という名言があ…

こつこつと

美術の世界へ憧れて飛び込んだ人は、やる気満々で参入したものの、すぐに海千山千の強者たちの壁にぶち当たって前に進めなくなる。ほとんどの人は好きでやり始めたのはいいけど、そうやすやすと成果が上がらないから、だんだんジレンマに陥っていく。ついつ…